いつのころからだろうか。プラモデルを作れなくなったのは。 子供のころは、楽しく作って遊んでいた。 爪切りとカッターナイフと、1本20円の筆と3色のプラカラーで十分だった。 模型雑誌を読んで、ウエザリングをおぼえた。 パーティングラインも、丁寧に消した。 フィギュアの目の書き方も、マスターした。 迷彩塗装も、缶スプレーと脱脂綿を使ってなんとかした。 しかし、エアブラシが無いと、まともな迷彩塗装が出来ないことを実感した。 そのころから、単色の車両しかつくらなくなった。 フィギュアの袖口に隙間がないとダメなことを知った。 模型作りからだんだん離れていった。 それから、ぼくは、いろいろな経験をして大人になった。 また、プラモデルを作りたくなった。 大人になれば、金に糸目をつけず、高価なエアブラシでもアフターパーツでも使うことが出来る。 子供の頃に憧れた夢の道具を使えるのだ。 しかし、大人になったボクは、手段と目的を取り違えないくらいの知恵を身につけていた。 プラモデルは、楽しむために作るのであって、エアブラシやアフターパーツを使うために作るのではない。 なら、子供でも、揃えられる道具で、楽しんでやろうと思った。 プラモデルの製品自体の欠点も楽しんで鑑賞できるような模型を作りたい。 ボクが好きなのは、プラモデルであって、本物の戦車ではない。 気軽に楽しく作れる戦車プラモ。 その楽しさが、少しでも伝わればうれしいと思う。 |