県北探索手記(2007年9月29日)

訪問日:2007年9月29日 著:ブースカ

タックさんと一緒にピノキオに出品作品を回収に行くことになった。どうせいくのなら店の探索をするしかないと作品回収兼、大探索の旅とすることとした。スタートは10時半、はてさてどうなるかだ。

バイパスを北上し、聖籠ICでおりて旧道を行く。荒川を超え、暫く走ると岩船地区の古い商店街となった。

「このあたりのもあるんさ」

学生時代まで村上で過ごしたタックさんは詳しい。

キョロキョロしながらゆっくりと走る。後ろから車が来るとその都度追い越させ、あくまで運転は探索流だ。

と、何だかありそげな店が目に入った。本屋である。タックさんに言わせると結構マニアックな書店とのこと。こういう店の片隅にプラモデルが積んであることがある。

ということで書店が探索第一号となった。

店内にはいると文具が少々と書籍のみ。店も閉じる準備をしているのか空になった本棚が目立つ。

こりゃだめだと、そそくさと退店。無いと分かれば潔し、これが探索の鉄則である。

もはやこの地区は壊滅かと呟きながらも探索の手はゆるめない。

次ぎに目に付いたのは雑貨屋風の店。模型店からは縁遠い店構えだが何か臭ってくる。店先に車を止め、飛び込むように店内に入る。見ての通りの雑貨屋だ。駄菓子に文房具、缶コーヒーなども売っている。

と、タックさんが発見。プラモデルである。全てガンプラで20個くらいある。若干箱が陽に焼けているが、そんなことはどうでもいい。とにかくこの岩船という超レトロ的商店街にプラモデルがあったのである。我々は顔を見合わせてニンマリしたのであった。

缶コーヒーを買い、余裕の顔となって店を出た。

1店制覇である。

さらに走るとおもちゃ屋があった。おもちゃ専門店である。店の名前は「おもちゃのマリヤ」、あんまり我々が熱心でマリヤ様が空から下りてきたのだろうか。我々はまるで宝物を発見した如く店内へと入った。

店は狭いが、正真正銘のおもちゃ屋である。当然、店全体がおもちゃで溢れかえっている。よくぞ残っていてくれたと嬉しくなる。

プラモデルも結構ある。すべてガンプラだが、一個一個紐で縛られ、丁寧に飾ってある。商品を大事にしていることが窺える。

うーん、あるねえ、我々は満足の笑みを浮かべる。店の奥では熱心に子供達がカードを選んでいた。

ここで店内を見渡していたタックさんがいきなり叫んだ。

「こんなものがある!」

ゲームである。それもテレビゲームでなく、エポック社のドイツ戦車というウォーゲームだ。これはかなり珍しい商品とのこと。それが半額で売られているのである。少々古くなっているが、中は新品のままだろう。

発見者のタックさんはご満悦である。

我々は足元も軽くなり、満足して店を出た。

「大型店が近くに来なかったので、こういう店が生き残っているんだろうねえ」

タックさんがぽつりと言ったが、そのおりだろう。

大型店は安くて新しい商品で溢れかえっているが、他方、地域の人間的繋がりや文化までをも壊しているのである。我々にとってはどっちがいいことなのかじっくり考えることが必要だろう。何事も安くて簡単がいいこととは限らないはずである。

時間も昼近くになったのでピノキオに向かう。

ピノキオのコンテストは今回43作品もの数が集まったとのこと。これは凄い数である。それらの作品群を見ることは非常に楽しみなことである。

村上の市街地を抜け、ピノキオのあるジャスコに向かう。村上の生き字引であるタックさんと一緒なのでロス無く動ける。

ピノキオは混んでいた。店内に子供達が大集結しているのだ。HPを見るとしょっちゅうカードゲーム大会をしているらしいが、そのカードファンの子供達だろうか。明るく広い店内に子供がいっぱい。見ているだけで楽しくなる。

コンテストの作品群は凄かった。ガンプラはどの作品もレベルが高く、お店の情報を頂いたダイサコさんの作品など、まるでプロのような出来映えだった。当然Kちゃんお作品もあり、ドーンという感じで鎮座していた。Kちゃんはどこでも凄い。スケール関係では他のコンテストではまず見られないデコトラがズラーッと並ぶ。ビックリしたのはデコトラを作った人がまだ12歳の子供ということ。これはホントに驚いた。

模型担当の横山さんがコンテストについて説明してくださる。

ここのコンテストの特徴は子供が多く出品してくれること。さらに子供達はみな熱心で非常に上手ということ。

ニコニコして話をする表情からは子供が大好きなことが窺える。

そして横山さんはその子供達について非常に詳しいのである。

「この子は今年受験だからあんまり作られないんですよねえ」

「この子は良く出品してくれるんですよ」

いつも子供達と接しながら仕事をなさっているので、これだけ把握できるのである。特にプラモデルは大人になっても続く趣味。子供の時から熱心に育てていくのが重要なのだろう。地域に根付いた文化の一端を垣間見たような気がした。

タックさんは人気ナンバーワン賞ということで景品と共に賞状も頂いていた。賞状を出すのは良いことだと思う。もらった方は記念になるし、嬉しさも大増量だ。そして参加賞も凄い。何と出品作一点につき、塗料2個なのである。私は3個出品なので全部で6個も頂いた。何か悪い気がしたくらいであった。

お昼はタックさんの母校である村上高校の前の「さいとう食堂」というところで食べた。塩引き定食840円である。さすが鮭の町村上の塩引きである。しょっからさの中に旨味が広がり、焼き方も最高なので、骨を2〜3本出しただけで全て平らげた。御飯は岩船米。もうもう大満足の昼食となったのであった。これも地元のタックさんが一緒にいたから味わえた話である。いやー、タックさんと来て本当にヨカッタ。

さて今日は6時から飲み会。あんまりゆっくり出来ないので探索の旅を急ぐことにした。

タックさんの子供の頃の記憶を頼りにして城下町村上を探索する。しっとりした街並みからは、漆塗りのプラモデルが出てきてもおかしくない雰囲気が漂う。

タックさんが子供の頃にお世話になった店は閉まっているのが殆どであったが、まだまだ頑張っている店もあった。

おもちゃのおざき、尾崎玩具店である。

商店街にあるこぢんまりとした店で、中にはいるとおばーちゃんが出てきた。まるでお店とセットのような情景で非常に心が和む。

ガンプラもあるがミニ四駆が多い。ミニ四駆が流行った頃はさぞかし子供達が集まっていたのだろう。片隅にはタミヤのモーターやスプレーが陳列されていた。懐かしいくじ付きのカードのようなものも下がっていた。紙風船が売っていたので娘のお土産とする。

気持ちも朗らかとなって店を出た。

「ここにもプラモデルが山積みにあったんだよねえ」

尾崎商店から少々行ったところに店があった。店の前面にガラスケースが並び、その中に民家の模型が隙間無く並んでいる。凄い数だ。奥には玩具も見える。しかし入り口は錠がかかって開かない。看板もないし、店を止めたのだろうか。民家の模型が溢れかえるガラスケースの上では肥えた猫が一匹昼寝をしていた。

店主が趣味で作っている模型だろうか。こんなものを見たのは初めてである。流石は手工芸の町、村上という感じであった。

最後にジャスコ近くのオフハウスを探索して村上を後にした。

帰りは小野商店に寄る予定である。

途中、これまたタックさんの進言で荒川町のアコスによる。少々古そうだが巨大なショッピングセンターである。

中にはいると予想通りおもちゃ屋があった。店名はおもちゃのマリヤ。その時は気づかなかったが、岩船にあったおもちゃのマリヤの支店らしい。

ガンプラが半分、スケールが半分という具合で、スケールは戦車、車、ヒコーキ、お城と一通り揃っている。割引率は全品100円引きというところか。ヒコーキの完成品がガラスケースの中に4機ほど飾ってあった。凄く上手かった。オーナーの作品だろうか。

素材も豊富だが、ここで仰天するものを発見した。

パクトラタミヤである。今のエナメルのタミヤカラーが発売される前の商品である。それも一個50円で大量にある。隣には何とレベルカラーも。イヤハヤこれは驚いた。後で聞いたことだが、パクトラタミヤはエナメル系でありながらプラを痛めない塗料とのこと。思い起こせばバンダイのヨンパチを作っていた頃、このパクトラタミヤを使っていたのだがプラがボロボロになった記憶などない。既に遅しだが、買わなかったことを悔やんでいる。

県北の探索も終わり、小野商店へ。

今日は店を開けていた。店主に挨拶をしてピノキオから回収してきた作品を見せて批評してもらう。作った作品を自慢に持って行ける店など他にはないだろう。店主の小野さんが的確にアドバイスしてくれる。いやー、これが本物の模型店、そして店と客との繋がりかもしれない。

「今日はゆるゆるのメンバーで飲むんですよ」

などと言うと

「オレも行きてえなあ、おお、これ持ってって、みんなで分けて」

リューターの先をもらってしまった。それも11本、丁度ピッタリの本数であった。

この店は本当に気持ちがいい。

「オレもここに住みたくなった

とはタックさん。

またまた1時間ぐらい話に夢中になったのであった。

今日はタイガーT型の金属砲身を購入。うーん、最高の店だ。

さらにここで宴会をしても良いと許可までもらった。本当にこんな凄い店は日本に一店だろう。凄い凄いの大スゴイだ。

我々探索帯は本日の任務を終了し、最後に新潟市山の下にある皆沢模型店を探索し、帰路に就いたのであった。

うーん、楽しかった。

われわれ探索帯の旅はまだまだ続くぞー!


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